足漕ぎカヤックを始めるのにとりあえず必要なものをご紹介します。
カヤック・・・船体と合わせて、アンカーも揃えましょう。
足・・・当たり前ですが、メインの動力となる足は非常に大切です。
フローティングベスト・・・転覆した際や非常に心強い必須アイテムです。
予備パドル・・・故障や怪我などもしもの時の推進力のためです。
ホイッスル&フラッグ・・・自力ではどうしようもない時に活躍してくれます。
その他にも偏光サングラスや紫外線カットの帽子類は必須です。
前述にフィン or プロペラと書いたように足漕ぎカヤックは大きく二つのタイプに分けられます。どちらのタイプも人気がありメリット・デメリットやそれぞれの特徴を解説いたします。
ミラージュタイプは船底に取り付けられたフィンをペダルによって駆動させる機構を持つ子ヤックのことです。もともとHOBIE社が開発したミラージュドライブが元祖で、フィン式の駆動機構自体が同社の専売でしたが、今ではミラージュタイプとして同様の機構を持つカヤックも販売されるようになりました。水の抵抗を軽減させる設計と、一度進み始めると比較的小さい力で進むことができるため、長距離の移動を伴うフィッシングや、海上でのフィッシング、体力に自信のない方にもおすすめです。さらにプロペラタイプと比べスピードを出しやすいため、広範囲に及ぶフィールドを効率的に攻めたいような場合もミラージュタイプが良いでしょう。
一方デメリット面としては、小回りがきかないことや、プロペラタイプのようにバックができない点(HOBIE社の上級モデルには行進や旋回可能モデルも有)、そして何より価格的に30万円〜というコスト面が挙げられます。
プロペラタイプのカヤックはペダルを踏むことで船外に取り付けられたプロペラを駆動させて進むタイプのカヤックです。ミラージュタイプのカヤックと比べ、小回りが良く狭いフィールドなどで活躍するバック(後進)機能もついています。価格帯もミラージュタイプのホビーカヤックより低価格帯で手に入る点も特徴に挙げられます。一方デメリット面としては、漕ぎ心地・スピード面でミラージュタイプと比べるとやや劣ります。また漕ぐためのペダリングに力が必要になるため足腰への負担がかかり、長時間の使用、非力な方には不安点が残るといったところでしょうか。
一人フィッシングも良いですが、お仲間やパートナーと一緒にフィッシングしたいという方には2人乗りタイプのカヤックがおすすめです。2人乗りカヤックのメリットにはまず安全面が挙げられます。体力が不安な方も2人分、もし疲れてもインターバルを設けて交代で漕ぐことも可能です。また同時に漕げばスピードも×2倍。船体自体も大きめの設計なため、その分安定性も期待できます。そして話し相手がいる、喜びを分かち合えるというのも2人乗りタイプの醍醐味ですね。
一方デメリットとしては、大きさに伴って重量もあるため、水や風の抵抗を受けやすいという点に加え、積載する際や運搬、移動にもそれなりに力が必要になるところです。
1人用カヤックの一般的なサイズは320mm〜420mmで、長いほど速度や保針性が上がります。サイズを選ぶ際の目安は車載サイズ内に収まること。スタンダードクラスのボディに使われる材質でよく見られるのがポリエチレン製。ハイエンドモデルではABSやポリカーボネート製のものがありますが、いづれも耐久性に優れ管理次第では半永久的に長く使えます。
車載に搭載できない、あるいは運搬面で不安が・・・という方は空気で膨らますインフレータブルタイプがおすすめです。収納性はダントツでキャリアがない場合も車内に楽々収納可能なほか、付属のキャリーバッグを使えば公共交通機関でもいけます。一方の不安点としては、たたむ際に折り目癖をつけないようにしたり、後述の艤装(カスタマイズ)の際の工夫や、航行中にブッシュや針などに当てないようデリケートな管理方法が求められることが挙げられます。またモデルによっては気室を複数個に別けることで、空気漏れ対策しているものもありますが、インフレータブルを選んだのなら、それでも万が一の時に最悪自力で泳ぐか、救助を待たなければいけなくなる事も想定して事前対策されることをおすすめします。
またカヤックにはシットオン、シットインタイプがありますが、足漕ぎモデルは基本的にシットオンタイプになります。
前述しました2人乗り(タンデムモデル)ですが、やはり同行者やペットと一緒に釣りを楽しみたいという方は1人乗りとどちらにしようか迷われると思います。
そういった方のために簡単に両者の違いをHOBIE社のコンパスというモデルを例に解説いたします。
最大搭載重量 |
181kg |
215kg |
船体重量 |
31kg |
41.7kg |
完成重量 |
39kg |
57.6kg |
国内販売価格 |
437,800円 |
647,900円 |
引用: https://www.marinebox100.com/mirage-kayaks
やはりネックとなる部分は約21万円の価格差でしょうか、また長さも2人乗りは50cmほど長くなります。道路交通法では積載物のはみ出しについて長さは車の全長の10分の1、高さは3.8m(軽自動車は2.5m)を超えないことと決まっています。
つまり1人乗りでは軽自動車(全長3.4m + 34cm =3.84m)でも積めますが、2人乗りは規定違反になります。
しかしその一方で幅はほぼ同じで、重量も18kg程度の差に留まっています。重さに関しては、2人で運ぶ際はむしろ1人乗りよりも軽く感じられそうです。大は小を兼ねると言いますが、1人乗りとしても使えるタンデムモデル。選ばれる際のポイントはこの18kgを1人で運ぶ際に重いと感じるか否かとお財布事情に尽きるのではないかと思います。
水面が穏やかなフィールドをメインとされる場合は選ばれる際の目安として、275cm〜350cmのカヤックがおすすめです。比較的軽量で短く1人でも運搬が容易にできます。
湾を出る場合や、波の荒い場所をフィールドにされる場合は、外洋向けのモデルを選びましょう。目安の全長は365cm〜425cm。波や天候の変化がよりシビアに安全性へと関係してくるフィールドでは、小回りや携行性を損なっても推進性や安定性が貴重になります。
車載に搭載については前述の通りまずご自身の車の全長を調べ道路交通法を遵守しましょう。また車の屋根に積載するためには「ベースキャリア(フット+バー+フック)」に「アタッチメント」を取り付け、カヤックを固定します。ベースキャリアの構成パーツはそれぞれ個別で購入することができますが、各メーカーの互換性の有無と車体との適合性を確認する必要があります。
両手が空いて釣りに専念できる足漕ぎカヤックですが、安全性を考慮すると予備のパドルは積んでおいたほうが無難です。川や沼、比較的小規模の湖であれば万が一駆動系のトラブルに見舞われた際にも、流れとフローティングベストを利用すれば、自力で岸にたどり着く事も可能ですが、湾内や、湾外に出る際は必ず携帯しましょう。またその際もハッチの中に格納するのではなく、パドルホルダーやデッキに出して急に起こるかもしれない予期せぬ事態に備えましょう。
快適な釣りを楽しむためにカヤックをカスタマイズすることを「艤装」と呼びます。艤装は船体に穴を開けてパーツを取り付ける方法の他に、予め船体に設けられたレールにパーツを取り付ける方法があります。
*フローティングカヤックの場合、船体に穴加工ができないため工夫しないといけないことがあります。
船体に穴を開けて取り付けるマウンターは、ロッドホルダーの収納に適したものや、ボールジョイント式の角度を自在に調節できるもの、ランディングネットやフラッグの固定に最適のチューブタイプのものなどがあります。
レールにはめ込むタイプのマウンターには魚群探知機関連のモニター、センサーなどに対応したモデルが一般的です。
最後に気になるカヤックの手入れについて触れたいと思います。使用後の基本手入れから、メンテナンスまでおすすめの手入れ方法をご紹介します。
いわゆるポリエチレン製などのハードタイプのカヤックのお手入れは基本的に水洗いでOKです。そこまで気にしない人はどうせ汚れますしおすすめしませんが最悪洗わなくても問題ありません。
ただし砂利などが付着したままルーフトップに固定して運搬すると、走行中に雨などが降った際、フロントウィンドウに流れ落ちてきてワイパーで取り除こうとするとガラスに傷がつくことがあるので要注意です。
また魚のぬめりや血液がついたまま保管すると異臭の原因になり、ハエやスズメバチなどが寄ってくる事もあるので、基本的に使用後は軽く水洗いすることをおすすめします。
ハッチ周りの掃除については念入りに行った方がいいです。
ハッチの蓋についているOリングは乾燥すると開け閉めが困難になったり酷い場合は浸水の原因に繋がりますので、ホームセンターなどでも買えるシリコンスプレーを塗布しておくと良いでしょう。
最後に船内に残った水分を取り除けば完璧です。淡水であればアオコ類、海水であればバクテリア類は放っておくとあとあと異臭の原因になったり、除去するのが困難になるため毎回ケアしておきましょう。その際は防カビ、耐久性、吸水性の高いビルジスポンジが便利です。
インフレータブルをお使いの方は収納する際水気が残っていると臭いやすいため、ハードタイプのカヤックよりも念入りに水気を取り除き、紫外線による劣化を防ぐためUVコートスプレーを塗布しておきます。
また使用につれ接岸の際など気よつけていても傷がつき穴が空いてしまうことがありますが、軽度のものは自転車のパンク修理のようにパッチを当てれば応急処置することが可能です。久しぶりに使う際は、手間ですが持ち出す前に一度空気を入れてみて2時間ほど放置し、空気漏れがないか確認されることをおすすめします。
保管場所については湿気が少なく風通しの良い直射日光のあたらない場所を選びましょう。
カヤックについてのあれこれがわかったところで、いよいよ足漕ぎカヤックのおすすめモデルをご紹介したいと思います。