池や河川、湖などに幅広く生息するへらぶなは、多くの釣り人に人気です。へら竿は、へらぶな釣り専用竿として発売されており、適したものを使用することで釣果が変化します。
へら竿は主に「カーボン竿」と「竹竿」の2種類が存在し、メーカーや竿の長さによって使い勝手が異なるため、どの竿を選べばいいかわからない方も多いでしょう。
本記事ではへら竿の人気ランキングや選び方、へら釣りに欠かせないアイテムを紹介します。初心者から上級者までの練度に分けておすすめの竿を解説しているので、自分に合ったへら竿選びのために、参考にしてください。
へら竿は、へらぶな釣り専用に設計された釣り竿です。一般的な釣り竿と比較して繊細で軽量な設計で、へらぶなの微細なアタリを感じ取れる特殊な構造を持っています。
へらぶな釣りは日本の伝統的な文化のひとつとして、江戸時代から続く長い歴史を持っている釣りの一種です。当初は池や沼での食料確保を目的とした実用的な釣りでしたが、明治時代以降、趣味としての側面が強くなり、現在のような繊細で奥深い釣り文化として発展してきました。
へらぶな釣りは難易度が高くないものの奥が深く、エサの調合やアタリを感じてからの操作、釣り場の選び方などさまざまな要素が成功につながる釣りといわれています。
へらぶなは警戒心が強く、エサを吸い込む力も弱いため、わずかな変化も逃さない竿が求められます。微細なへらぶなの食いつきを感じ、適切なタイミングで引き上げなければ逃げてしまう難しさと、引き上げたときの達成感が、へらぶな釣りの醍醐味といえるでしょう。
へら竿の選び方は、主に以下の3つのポイントが判断材料になります。
それぞれ詳しく解説します。
へら竿の素材は主にカーボン製と竹製の2種類に分けられ、それぞれ特性が全く異なります。
カーボン竿はへら竿で主流の素材であり、軽量で扱いやすく、感度や強度にも優れているのが特徴です。体にかかる負担が少ないため、初心者でも扱いやすく1日通して振り込むことも可能です。
初心者モデルから大会で採用されるような高性能のモデルも存在します。ものによっては特殊なお手入れが不要なものもあり、メンテナンス面も優秀です。
竹竿は日本で昔からへらぶな釣りに採用されてきた素材で、自然素材ならではの風合いが多くの釣り竿愛好家に支持されています。
独特の調子が好まれている一方で、カーボン素材に比べ重く、１日振り続けるために体力が必要なことに注意が必要です。湿度の影響を受けやすいため、定期的なメンテナンスも必要になります。
伝統工芸品のような価値の高い竹竿も販売されており、メンテナンスをするごとに手になじみ、愛着も沸いてきます。自分好みの１本を作りたい上級者の方におすすめです。
また、近年ではカーボン製と竹製の中間にあたる特性を持つグラスファイバー製の竿が登場しています。
グラスファイバーはガラスを繊維状に加工した素材を指し、カーボン竿よりも粘りが強く竹竿よりも軽量な点が利点です。あまり種類はありませんが、安価な製品も出ており、初心者から中級者にとって魅力的な選択肢になっています。
釣り竿では竿の曲がり方を「調子」と呼び、釣り竿選びにとって重要な要素のひとつです。
竿の曲がり始めるポイントが先端に近づくほど感度の良い竿になり、手元に近いほど力強く引きやすい竿として扱えます。へら竿の調子は、主に3種類から選びます。
先調子は、竿先のみが曲がる調子で、高い感度と振り込みやすさが特徴です。
狙ったスポットに振り込みやすいことで、へらぶながヒットする可能性も高く、小さな食いつきの反応も拾えるため、食いつきの弱いへらぶな釣りに向いているといえます。特に管理釣り場で多くの魚へ仕掛けたい方に向いています。
初心者を含む大半のへらぶな釣りにとって最善の選択肢になり、手返し（仕掛けを回収して再度仕掛けを投げ入れる）重視の釣りにおいても、適した選択肢です。
胴調子は竿の中心部分から曲がるため、大物がヒットしたときも竿の粘りと弾力で仕留めやすいのがメリットです。
竿の中心部分から曲がることで振り込みにくく、初心者には扱いづらいのが難点です。釣りにある程度慣れてきた方が、野釣りで大物を釣り上げたい場合に適しています。
風や雨が強い環境においては先調子よりも安定感を発揮するとされており、中級者以上の方は1本持っておきたい竿です。
本調子は先調子と胴調子のおおよそ中間位置で曲がる竿です。さまざまな釣り場や状況に対応できる汎用性の高さが特徴で、オールラウンドに釣りを楽しみたい方に向いています。
自分自身の釣りのスキルが反映されやすい竿でもあるため、上級者向けの竿では、本調子のみでラインナップされているシリーズも存在します。
へら竿の長さは釣果に大きく影響する重要な要素です。釣りをする場所や対象によって、適した釣り竿のサイズは異なります。
釣り竿は短い竿が6尺（約180cm）から、長い竿だと最大30尺（約9m）の竿まで存在します。へら竿を使う釣り場の特徴から、適した釣り竿と選び方を考えましょう。
管理釣り場では9尺前後の釣り竿がおすすめです。河川よりも浅い水深にへらぶながいるため、長い竿が必要なく、レンタルしている竿も短尺の竿が中心です。
管理釣り場で長い竿を使おうとすると、近隣の釣りの邪魔になるケースがあり、逆に釣りにくくなる場合もあるため注意してください。最初は取り回しのいい短尺の竿を揃えましょう。
池や湖、河川では短尺の竿で対応できないケースも存在します。短尺で対応できなくなったら2本目以降の竿として、中尺（11～14尺）や長尺（15～18尺）の竿を用意してください。
短尺、中尺、長尺と竿を1本ずつ増やしていくと、幅広い釣り場や環境での釣りがしやすくなります。
へら釣りを楽しむためには、竿以外にさまざまな道具が必要です。それぞれの道具の役割と選び方を理解して、自分に適した装備を揃えましょう。
へらぶな釣りのタモ網は長さ短め、直径が最低30cmはある網を選びましょう。
へらぶな釣りにおいて高所から釣ることは基本的にないため、網の長さは2～3mあれば十分です。へらぶなは20～30cm前後の大きさが多いため、30cm程度のものを選びましょう。
網目が細かく、深さがあるものを選ぶと、へらぶなを傷つけることなく釣り上げられます。
ウキは大きさや形よりも、まずトップの種類から選ぶことが重要です。
へらぶな釣りのウキにおけるトップは「パイプトップ」と「ムクトップ」の2種類です。パイプトップは空気が入る構造で浮力が高く、視認しやすいので初心者に向いています。ムクトップは細くて視認しにくいものの、小さなアタリでウキが反応しやすいため、中級車以上におすすめです。
釣りにおけるラインとは、釣り糸のことを指します。へらぶな釣りでの釣り糸は、一般的にナイロンラインを使用します。
ライン選びのポイントは、強度と伸びのバランスです。適度な伸びがあることで魚の急な引きを吸収し、バラシを防ぐ効果があります。また、水中での視認性を抑えたクリアタイプのラインが好まれます。
ラインの太さは、道糸が0.8～1.5号、ハリスが0.3～0.8号程度が一般的です。魚の大きさや活性、釣り場の状況に応じて使い分けることが重要です。また、ラインの品質は釣果に直結するため、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。
へらぶな釣りには、竿関連の道具以外にエサや万力、竿掛けなども使用します。
エサは釣りに取って欠かせないアイテムです。エサ作りは配合や順番などで変化し、エサ調整は釣りの醍醐味のひとつとも捉えられます。いまは単品で使える製品が出ているため、簡単にエサの準備が完了します。
万力は、釣りの待ち時間に重要なアイテムです。管理釣り場ではセットできる釣り台が用意されているため、固定させてストレスなく待ち時間を楽しめます。
へらぶなは春の産卵期には浅場に、夏場は深場に移動、秋には再び浅場での活動が活発になる性質を持ちます。冬場は動きが鈍くなるため、一層繊細なアプローチが必要です。
季節によって動きを変化させるへらぶなには、仕掛けで対応するのがおすすめです。仕掛けをうまく使いこなすことで、釣果は大幅に変化します。
へら釣りの仕掛けは、「宙釣り仕掛け」と「底釣り仕掛け」の2種類が一般的です。釣り場の状況や魚の活性に応じて細かく調整できれば、釣果アップにつながります基本的な仕掛けパターンを理解して、状況に応じてアレンジできるようになりましょう。
宙釣りはエサが底についていない状態での釣りを指します。魚の活性が高い時季の釣りに適し、春から秋にかけてのヘラブナ釣りにおすすめです。
手返し（仕掛けを回収して再度仕掛けを投げ入れる）重視の釣りであり、初心者が試しやすい点も魅力です。構成もウキ止めゴム、ウキ、オモリ、ハリスとシンプルなため、道具を揃えやすい点も優れています。
底釣りはエサが底についている状態で、魚を底に集める釣り方です。
簡単ではないもののアタリも明確に出やすく、ハリやオモリなどのどの部分を底につけるかで反応が変化する、バリエーションがある釣り方といえます。
底釣りには、水深を正確に測るためにタナ取り用トンボ（ウキ下の長さを調整するための目印）や、タナ取りゴムが必要になります。
へら竿を製造するメーカーは独自の技術を持っており、初心者用から上級者用までさまざまな製品を展開しています。メーカーそれぞれの特徴を理解し、自分の好みに合ったブランドを見つけてください。
シマノは世界的な釣り具メーカーとして、先進的な技術とデザイン性が両立したへら竿を製造しています。カーボン技術の革新により、軽量でありながら高い強度を実現した竿が特徴です。
シマノのへら竿の代表的な技術が「スパイラルX」がです。竿の内層にカーボンテープを斜め方向に巻くことで、ねじれとつぶれに強くなり、竿のパワーロスを抑制して破損しにくい竿を実現しました。現在は、さらに高強度を実現した「スパイラルＸコア」も存在します。
シマノは初心者向けからハイエンドモデルまで幅広いラインナップを展開しており、予算や技術レベルに応じて選択できるのも魅力です。デザイン性にも優れ、所有する喜びを感じられる製品が多いのも特徴です。
ダイワは日本を代表する釣り具メーカーの一つで、豊富なラインナップと継続的な技術革新により、多くのへら釣り愛好家から支持されています。
ダイワの特徴的な技術は「メガトップ」です。竿先にソリッドカーボンを使用することで、高い感度と適度な粘りを両立しています。微細なアタリを確実に手元に伝える一方で、魚がかかった際には適度に曲がって魚の引きを吸収します。
ダイワは価格帯別に多様な製品を展開しており、初心者が手軽に始められるエントリーモデルから、プロ仕様のハイエンドモデルまで選択肢が豊富です。品質管理も徹底されており、安心して使用できる製品作りを行っています。
がまかつは1955年、兵庫県西脇市で釣り針メーカーとして創業したメーカーです。精密な技術をへら竿製造にも活かして拡大し、現在はアパレル用品も扱っています。職人の手による丁寧な仕上げと、妥協のない品質管理により、多くの上級者から絶大な信頼を得ています。
がまかつは大会やイベント開催にも力を入れており、企画する最大のイベントが毎年行われるG杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権です。全国のへらぶな釣りファンに対して活動する機会を提供しています。
がまかつのへら竿は、竹竿の伝統的な製法を現代の技術と融合させた製品が特徴的です。天然竹を使用した竿では、一本一本の個性を活かした調整が行われ、使い手の好みに応じたカスタマイズも可能です。
ここでは初心者におすすめなへら竿をランキング形式で発表します。製品の内容や特徴も解説するので、自分好みの製品をチェックしてください。
第1位 シマノ(SHIMANO)
へら竿 紅月(あかつき)
へら釣りに興味を持ったら1本目に試してもらえるようにと作られた、シマノ製の並継ぎへら竿。6尺から18尺までサイズを選択でき、9尺でも97gと超軽量なのが魅力です。
タフテックインフィニティ半無垢穂先を採用した先調子であるため初心者でも扱いやすく、繊細な竿さばきと水切れを実現しています。安価なモデルながら、シマノ特有の「スパイラルX」を採用しているため、軽さと強さを兼ね備える竿になっています。
第2位 ダイワ(Daiwa)
へら竿 月光(げっこう)
カーボン素材のメリットを活かしたダイワ独自の設計「株詩論」を採用したへら竿。初心者に手が出しやすい価格帯でありながら、高級へら竿レベルの「節出し段塗」を行い、手作業に酔って1本1本作られています。
硬式先調子であるため扱いやすく、さらにロッドを継ぐ部分にカーボンシートを採用することで、歪みのない美しい曲がりを実現しています。パワー・張り・曲がりの性能がどれも高く、初心者から上級者までが納得して扱える竿です。
サイズは7尺から21尺までが用意されているため、自分に合った長さの竿を選ぶことも可能です。
第3位 おり釣具オリジナル
彩賀 ヘラブナ 釣りセット
おり釣具が提供する初心者用フルセット。へらぶな釣り専用のセットとして構成され、竿や竿掛け、万力、玉柄、玉網にウキや仕掛け、釣り針までほぼ全てが1つで完結しています。
釣り竿は9尺と管理釣り場で扱いやすい長さを採用しています。竿掛けや玉柄とともに彩賀へら竿と同じ塗りを施しており、一体感がある組み合わせです。網もへらぶなを釣り上げることに特化したサイズで初心者も扱いやすい仕様になっています。
管理釣り場や釣り堀でへらぶな釣りデビューをしたい方に、おすすめのセットです。
ここでは中級車から上級者におすすめしたいへら竿をランキング形式で発表します。初心者用の竿に物足りなくなってきた方や、自分に合った最高の1本を手に入れたい方は、是非参考にしてください。
第1位 ダイワ(Daiwa)
へら竿 HERA S(へら S)
人と釣技で競うことを目的に作られた競技系並継へら竿。実際にあらゆるシチュエーションで開催される例会や競技で使用され、釣るための性能を最優先にこだわったモデルです。
初心者用モデルでも採用されている「株理論」や「VｰJOINT」の他に「SVFカーボン」や「X45」という技術も採用し、最大限竿の軽さ、パワー、操作性を向上させています。
HERA Sから追加開発された「HERA S F-SPEC」は、さらに軽量化を実現し、曲がりを大きくすることで掛けたへらを逃さない仕様になっています。釣り場や河川など、幅広い場面でいままで以上の釣果が期待できることでしょう。
第2位 シマノ(SHIMANO)
へら竿 普天元 獅子吼(ふてんげん ししく)
シマノ製へら竿の最高峰モデルである「普天元」シリーズは、1994年に発表されて以来多くの釣り人に性能と美観を評価されてきました。
本調子であるため、初心者が扱いやすい先調子から離れて「力強い釣りを楽しみたい」「河川で大物を釣り上げたい」と考える中級者以上の方に適しています。
獅子吼（ししく）の意匠、段塗の質感や手になじむ感覚は触った人にしかわかりません。お手入れをするごとに愛着の湧く1本と出会いたい方におすすめです。
第3位 がまかつ(Gamakatsu)
がま鯉 メビウス
高級釣り竿メーカーであるがまかつのなかでも、中級者以上に幅広くおすすめできるのが「がま鯉 メビウス」です。
東レ株式会社が開発した、世界最高クラスの引張強度を誇る炭素素材が採用され、特許技術である「ナノアロイ(R)」を用いて、軽快な操作性と取り回しの良さと力強さを両立しています。
何層にも施されたカラーリングと「∞」の紋章をあしらわれたことで、いつまでも使い続けたいデザインと性能の1本に仕上がっています。
へら竿は精密な釣り具であるため、適切なメンテナンスを行うことで長期間にわたって性能を維持できます。竿の性能を落とさず使い続けるために、正しいメンテナンスを学びましょう。
使用後の洗浄
釣りが終わったら必ず竿を真水で洗浄しましょう。特に海や汽水域で使用した場合は、塩分を完全に除去することが重要です。
柔らかい布で竿全体を優しく拭き取り、ガイド部分の汚れも丁寧に清拭します。竹竿を使用している場合は、竿が腐食する原因に繋がるため、必ず水で洗浄しましょう。
十分な乾燥
洗浄後は竿を完全に乾燥させることが必要です。湿気が残ったまま収納すると、カビの発生や接着部分の劣化の原因となります。
風通しの良い場所で自然乾燥させ、急激な温度変化は避けるようにします。直射日光があたると、竿のカーボン部分やラバー部分を劣化させる可能性があるため、日陰で乾燥させましょう。
竿袋での収納
竿は専用の竿袋に入れて保管し、直射日光や高温多湿を避けた場所に収納します。竿袋は、竿購入時に付属していることが多いため、基本的に付属の専用袋を使用しましょう。
縦置きでの保管が理想的で、他の道具との接触による傷を防ぐため、十分なスペースを確保します。車で釣りに出かけるからといって車に保管すると、車内の高い温度が竿を痛める原因にもなるため注意しましょう。
へら竿選びは、へら釣りの楽しさを大きく左右する重要な要素です。素材、調子、長さの特徴を理解し、自分の技術レベルや釣りスタイルに合った一本を選ぶことが成功の鍵となります。
初心者の方は、まず扱いやすい先調子の竿から始めて、技術向上とともにより胴調子など専門性の高い竿へとステップアップしていくことをおすすめします。竿だけでなく、タモ網やウキなどの関連道具も含めてトータルでバランスの取れた装備を整えることが重要です。
竿は1本のみで完結されるものではなく、釣る対象や環境によって適したものを使うことが重要です。1本目は短竿の扱いやすいものからはじめ、2本目以降に長竿を揃えるで、専用釣り場だけでなく、湖や河川などでも満足いく釣りができます。
適切なメンテナンスも忘れずに行うことで、お気に入りの一本を長く使用でき、へら釣りの奥深い世界をより深く楽しめるでしょう。この記事を参考に、あなたにとって最適なへら竿を見つけて、素晴らしいへら釣りライフをお楽しみください。